ファカルティ・ディベロップメント
FDで、大学は変わる。

 日本中退予防研究所は100人以上の高等教育機関中退者へのインタビューを通じ、真の中退理由を明らかにして参りました。さらに、中退を未然に防ぐための大学改革コンサルティングに従事してきた中で、あるキーワードの重要性に辿り着いたのです。

 それは、2008年より文部科学省によって義務化された「ファカルティ・ディベロップメント(FD)」でした。FDとは「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」と定義されています。2012年8月末に文部科学省が出した答申『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて』においても、「教育の質的転換」「主体的に考える力の育成」を目的にFDの重要性が述べられています。

 中退者へのインタビューで分かったことは、表向きには「経済的理由」が中退理由とされる一方で、実は「授業内容に意義を感じない」「授業内容がわからない」「友だちがいない」「授業のやり方が合わない」といった理由で中退をしているケースが少なくないということです。

 これら中退の要因はFDを通じて解決することが可能です。「授業に意義を感じさせる」「わかる授業をする」「授業の中で学生たちが人間関係を築く」「学生に合う授業の方法を採用する」といったことが、FDによって実現可能となるのです。

 つまり、FDは大学教育の質を底上げするプラスの要素だけでなく、中退というマイナスを減少させる要素も同時に持ち合わせているのです。


カギは、学生を理解すること。

 FDが義務化されたいま、どの大学でもFD活動に取組まれているでしょう。しかし、「学生の成長」という成果を果たしているケースはまれです。中には、義務を果たしているというアリバイづくりのため、とりあえず授業アンケートをとっているだけという大学もあります。
 いまこれをご覧になっているみなさんの大学は、いかがでしょうか。もしかすると「まじめにFD活動をやっているものの、成果はあまり出ていない」という大学もあるのではないでしょうか。
 
 FD活動をする上でカギとなるのが「学生理解」です。
 大学全入時代と言われるいま、20歳人口の50%は大学に進学しています。大学進学率が20%程度だった時代に比べ、学生の性質が多様化しています。つまり、1970年代ならば20%の学生の特徴さえ分かっていれば、彼らにふさわしい教育が可能でした。しかし、その層の学生への理解は、いま大学に進学している別の層の学生への理解とは直結しないのです。

学生理解

 このとき、学生はブラックボックス化してしまいます。
 教職員のみなさんが望む「成績、授業態度」を学生が出力してくれるよう、学生に対して「授業内容、授業方法」を入力します。ところが望む結果は出ません。なぜなら、「何を入力すれば何が出力されるか」という学生のしくみの理解にズレがあるまま入力してしまっている可能性があるからです。これは教育熱心な方ほどつらいことで、「なぜ一生懸命教えているのに、学生は成長しないのか?」と思い悩むことになってしまいます。
 
学生理解

 あくまでもFD活動をする上では、「教員が何をするか」よりも「学生がどのように反応するか」に注目する必要があります。

 総体(マクロ)としての学生理解にはIR(Institutional Research)が有効です。拙著『教学IRとエンロールメント・マネジメントの実践』では、IRの基本や活用事例をご紹介しています。
 個々の学生理解のためには、やはり日頃の授業における観察・傾聴がカギです。授業(ミクロ)における学生理解を深める方法は、ファカルティ・ディベロッパーである樋栄ひかるさんのティーチングメソッドに基づくセミナーやレポートでご紹介しております。
 また、個々の授業をつなぐカリキュラムの改革や大々的な授業改善への取組みには組織体制が重要です。拙著『中退予防戦略』では中退予防対策のみならず、大学改革チームを組成し、戦略を実行するための原則や国内のケーススタディを紹介しておりますので、あわせてご参照頂ければ幸いです。
 
 
ティーチング×カリキュラムで、相乗効果を。

 FDは一般的に「ティーチングスキルの改善」と結びつくことが多いのですが、同時に「カリキュラムの改善」も重要です。
 カリキュラムとは、「入学時点の学生(スタート)」が「卒業までに成長した学生(ゴール)」に到達するための道のりです。しかし学生が逸脱してしまうような道のりでは、望む効果は得られません
 一方で学生が道のり通り進んだとしても、それを進む支えとなるティーチングが良くなければ、学生は最後まで道を進みきれません。
 
 つまり、FDとは「ティーチング」と「カリキュラム」を同時に考える必要があり、その入口に「学生理解」が存在します。日本中退予防研究所は「学生理解に基づくティーチングとカリキュラムの充実化」を『FD2.0』と定義し、本格的なFD実質化活動に取り組んで参ります。
 
 『FD2.0』実現のために、日本中退予防研究所は独自の情報を広く公開することにしました。「若者が希望を持てる社会」を実現するためには一刻も早く、大学が生まれ変わる必要があると感じているからです。
 詳しくは以下からご覧ください。

ティーチング カリキュラム

▲TOPに戻る