中退を考えている学生へのメッセージ

人生と中退について知っておいてほしいこと


■中退のリスク――あなたの人生に及ぼす影響は?


周囲に馴染めない、授業についていけない、楽しみが無い、通学が憂鬱――

「学生」として過ごすなかで、みなさんも一度や二度はこうした感情を覚えたことがあるのではないでしょうか?じつは、これらの言葉は、大学や専門学校を中退した人たちが「体験談インタビュー」のなかで発言したものでした。彼らは、漠然とした「苦しみ」から解放されたい一心で、中退を選んでいきました。

しかしながら、多くの場合では、この判断は間違っていると言わざるをえません。中退したとしても、気持ちはきっと晴れないでしょう。むしろ、中退をすれば、生涯つきまとうさらに大きな悩みを背負うことになってしまいます。

小学校から高校、大学・専門学校までは、私たちには自分の席が用意されていました。「生徒」や「学生」という肩書があり、みんなと同じ「やるべきこと」や「行くべき場所」がありました。しかし、大学・専門学校の外には、自分の席は用意されていません。自分の席は自分で用意しないといけないのです。正直に言って、「用意された自由」はそこにはありません。

もちろん、皆さんご存じのとおり、中退しても「成功」した実業家はたくさんいます。しかし彼らは、努力をしたから成功したのであって、中退したから成功したのではないということは明らかです。

起業家のようなすごい人でなくても、中退の悪影響を比較的受けない人たちもいます。ただし、そうしてリスクを回避できるパターンは、じつは次の3通りしかありません。

(1)大学・専門学校などに再入学する
新しい大学や専門学校に再入学すれば、2~3年は卒業年次がずれるものの、その後のキャリアにはそれほど支障はありません。ただし、再入学となれば、再受験のための予備校代・受験料・入学金・2~4年間の授業料など少なく見積もっても300万円は必要になります。そのため、経済的に余裕のある家庭でなければこの手段は現実的ではないのが難点です。

(2)身内の縁で就職する
「コネ」でも何でも、就職してしまえば学歴はそんなに大きな問題ではなくなるかもしれません。あれば積極的に活用してしまいましょう。ただし、親戚か近い間柄の人の会社に就職しようにも、そうした人が周囲にいてくれなければ不可能ですから、これもまた「特別な家庭」の人だけがとれる方法です。

(3)結婚する
結婚や出産がきっかけの場合には、中退を後悔する人はあまり多くありません。それは、中退後の生活が家庭や子育てで充実しているためだと思われます。ただし、これは、基本的に女性に限られたことですので注意が必要です。

自営業、再入学、身内のコネによる就職、結婚・出産――これ以外の「中退」は、はっきり言うと、あなたの人生を大きく悪い方向へ変えてしまう可能性があります。中退後の就職状況を調べると、大学新卒の90%以上が「正社員」で就職しているのに対して、中退者が「正社員」になったのは約15%だけで、逆に約60%が「パート・アルバイト」や「派遣・契約社員」、約17%は「無職」であることが分かっています。

初任給をみると、正社員でもだいたい15万円~20万円程度で、アルバイトでの収入と大差なく見えます。しかし、正社員の給料には昇給やボーナスがあるので、年収や生涯賃金で見るとアルバイトの数倍にもなります。また、もしも病気で働けないとき、正社員なら会社が休んでいる期間の給与を補償してくれますが、非正規のアルバイトでは、当然収入はゼロになってしまいます。

それでも、若いうちは、アルバイトで月20万円も稼いでいれば十分暮らしていけるでしょう。しかし、考えてもみてください。10年後、みなさんが30代になっても、同じ生活を続けていると言えるでしょうか?そこからさらに20年後、ご両親と同じ50代になったとき、そのアルバイトを続けていられるでしょうか?

答えは、あなたにお任せします。人生は、あなたのものです。何をするのも、どう生きるかも、あなた次第です。しかし、その分責任もリスクも負うのはあなたであるということを忘れないでください。


■「とりあえず中退」に逃げない!


もしいま悩みを抱え、中退したいと思っているのなら、まずは「中退したあと」のことを考えてみてください。5年後10年後20年後に、中退した自分がどうなるか、人生について真剣に考える時間を作ってください。人によっては1日で終わるかもしれませんし、2~3週間かかる人もいるかもしれません。

そして、よくよく考えた末に、「中退しないほうが得だ」と思えたら、ぜひ別の選択肢を選んでほしいと思います。中退は、そんなに軽いものではありません。中退以外の解決策は必ずあります。ここでは、ご参考までに、具体的な3つの方法をご紹介します。

(1)休学
休学して、その1年間をほんとうに自分の好きにつかえばいいと思います。自分で選んだことをとことんやる、という経験から学べることはたくさんありますし、1年くらい卒業がのびても就活には支障ありません。就活についてもう少し言えば、中退して大卒・新卒でなくなるより、よほど正社員になりやすいといえます。

(2)留年
単位不足で留年が確定し、留年は恥ずかしいからという理由で中退をするひとがいます。たしかに同い年の友人がいない1年間はつらいかもしれません。しかし中退すれば、それこそ大学・専門学校の友人とはもう会えなくなります。友人たちが学生の間は学生ならではの話題についていけず、社会人になるときには、学歴のちがいに劣等感を覚えてしまい、関係を断ち切ってしまうひとが多くいます。留年して卒業までに5年や6年がかかっても、大卒は大卒です。

(3)奨学金
家庭の経済状況が苦しくても、奨学金で通うことができます。現在、公共団体が支給している奨学金のほとんどはローン型ですが、たとえば合計200万円借りたとしても、卒業後20年をかけて返済するのですから、返済金は1カ月に1万円ほどです。これは十分に返済可能な金額ではないでしょうか。せっかく受験料も入学金も払ってきたのに、わざわざそれを捨てるようなことをする必要はありません。

日常のなかで生まれた悩みは、大学や学校に通うだけでは消えません。しかし、だからと言って、中退してもその悩みが本当の意味で消えることはありません。目的のある計画的な中退まで止めるつもりはありませんが、「とりあえず中退」というのは、絶対にやめてほしいのです。あなたの人生を、現実的に考えてください。

もし1人で考えるのが辛かったら、ご両親などの「信頼できる年上の人」に相談してみるといいと思います。「中退について話をするのは怖い」とか「あまり心配させたくない」と思うかもしれませんが、親身に話をきいてもらえば、少し冷静になれるでしょうし、きっと必要なアドバイスをしてくれるはずです。近くに信頼できる人がいなければ、逆に全く利害関係のない「他人」に相談するのもいいかもしれません。「若者サポートステーション」では、そうした悩み相談のプロがいますから、よければ利用してみてください。


■活用してほしい情報


●ギャップイヤー.jp
休学体験談を読むことができます。「休学」の幅の広さを伺えます。
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